皆さんは、かつてムーミントロールがある帽子を拾ったことがあるのをご存知でしょうか。
それは飛行おにという魔法つかいが落としたまっ黒なシルクハットで、
中に入れたモノはすっかり形や姿を変えてしまう、ふしぎな帽子でした。
例えばそこに砂を入れれば砂が水に、川の水を入れれば水が木苺のジュースに、
卵の殻を入れれば乗って空を飛べる雲になったりするのです。
これからお話しするのは、その帽子に関係する物語です。
帽子を拾ってからしばらく後のある日、ムーミントロールはとても退屈していました。
退屈になると、生きものというのは普段気にならない事でも気になってきて、 心穏やかではいられなくなるものです。
「なにか楽しいことを見つけなくちゃ」
ムーミントロールはそこで、戸棚の中にしまわれているあの帽子のことを思い出したのです。
ムーミントロールは近くにいたスノークのお嬢さん、リトルミイ、スナフキンに声をかけ、
早速実験を始めました。生きものではないモノを帽子にいれて、何に変わるか見るのです。
乗れる雲がまた現れてくれたら、とても素敵だなと考えながら。
しかし、出てくるモノはフライ返しとか、きらきらした魚の鱗とか、そんなモノばかりです。
ムーミントロールが諦めかけたその時、リトルミイが叫びながら紙をひっぱり出しました。
「あたいの入れたモノが、地図とかコインになったわ!」
確かにそれは地図やコインでした。地図はムーミン谷を表していましたし、
他にも奇妙なことが書かれていました。
何を表しているかわからない謎のような文章や、
宝の隠し場所を示すような奇妙な図の描かれた紙も現れました。
「宝の隠し場所ですって!」
スノークのお嬢さんは驚いて体の色を変えました。
地図に書かれた謎を解けば、ムーミン谷のどこかにある
その宝の隠し場所がわかるようでした。
「宝ってのが本当にあるかはわからないよ。
なにせこの帽子から出てきたものなんだからな」
スナフキンはこう言いながら、とにかく探してみることには賛成しました。
こうしてムーミントロール達と魔法の地図の物語は始まったのです。